「実務経験証明書(様式第九号)」は専任技術者の実務経験を証明するための書類です。当然ながら国家資格等で証明する場合には提出する必要はありません。
10年以上の実務経験による専任技術者は意外と多く、業種によっては資格の難易度が高いため大半が実務経験というものもあります。
申請書類としては提出機会が多いものの、都道府県によって書き方のルールが違っていたり、確認書類の添付のルールが違っていたり、とっつきにくい書類の1つかもしれません。
本記事では、大阪府および近畿地方整備局(大臣許可)におけるルールに基づいて解説しています。
ぜひご参考にしてください。
▼目次
5.最後に
新たに専任技術者を実務経験で証明する場合は必ず提出する
書類は大阪府HPの様式等ダウンロードページからダウンロードできます。
建設業許可は、許可を受けようとする業種に応じた専任技術者を置く必要があります。
新規申請はもちろん、業種を追加するとき、業種担当を交代させるとき等、専任技術者として要件を満たしていることを証明しなければなりません。
国家資格の証明は簡単なので特に問題ありませんが、実務経験の証明は「実務経験証明書(様式第九号)」を正しく作成し、確認書類を揃えなければならないので申請の難易度が上がります。
実務経験の証明に関する基礎知識
専任技術者の実務経験は原則10年以上という長期間の経験が必要です。
業種ごとの特性、年数の捉え方等、書類作成の前に抑えておくべきポイントがいくつかあります。
◎ 1期間で実務経験を証明できるのは1業種
同じ期間での複数業種の経験は認められません。
例えば、とび・土工工事業と舗装工事業を2010年から2020年までの10年間経験していたとしても認められるのは1業種のみです。両方の業種の実務経験を証明するには重複しない10年、合計20年以上が必要になります。
◎ 建築工事は実務経験での証明が難しい
建築工事業は、ゼネコンや工務店が元請として請け負う工事を想定しています。
建設業許可のない、請負金額1,500万円未満の建築工事だけを請け負うゼネコンや工務店というのは考えにくく、許可業者での経験が前提と考えた方が良いでしょう。
過去に勤めていた会社が建築工事業の許可を持っていたということが前提になるので、難易度は上がります。
◎ 場合によっては3年、5年の実務経験で足りることがある
許可業種に応じた指定学科の高校や大学を卒業している場合は、実務経験を3年や5年に短縮できることがあります。
卒業学科が対象となるかの判断や必要証明書類については事前に大阪府に確認する必要があります。
◎ 電気工事、消防施設工事の実務経験には資格が必要?
電気工事と消防施設工事は電気工事士法や消防法で規制されている通り、施工に携わるには電気工事士や消防設備士といった資格が必要とされています。実務経験を積むためにまずは資格が必要という構図になるのです。
しかし、そもそも専任技術者に必要な実務経験が資格を必要とされる実作業だけに限られるというのも違和感があります。このあたりは各行政庁に事前相談すべきだと思います。
なお、解体工事については無許可業者も解体工事業登録が必要なので、解体工事の実務経験は登録業者でのものが求められます。
◎ 特定建設業許可の場合は指導監督的実務経験が必要
特定建設業許可における専任技術者は通常の実務経験だけでは認められません。
元請として請け負った、請負金額4,500万円以上の工事において、工事現場主任や現場監督のように指導監督的な立場で関わった経験が2年以上必要になります。
指定7業種(土木工事業・建築工事業・電気工事業・管工事業・鋼構造物工事業・舗装工事業・造園工事業)の場合は指導監督的実務経験があっても認められず、1級相当資格が必要になります。
実務経験証明書(様式第九号)の記載例・記載ルール
以下、記載例をもとに記載ルールを解説しています。
各都道府県によってルールが異なるので注意が必要です。
ここでは大阪府と近畿地方整備局におけるルールを解説しています。
記載例は、現在勤めている会社(許可なし)で管工事を10年以上経験してきたことを証明するという内容です。(一般建設業許可の場合)
【大阪府知事許可】
①証明者
実務経験の証明をしようとする期間、被証明者が在籍していた会社の代表者又は個人事業主を記載します。
上記の例では、現在在籍している会社の代表者になっていますが、過去に在籍していた会社での経験を証明する場合は、過去在籍していた会社の代表者を記載します。
②使用者の商号又は名称
実務経験を積んだ当時の商号又は名称を記載します。基本的には①証明者に記載した会社名や個人事業主名と同じになります。
異なる場合はその理由を書類の一番下の欄に記載します。証明者となる会社が倒産して当時の代表者と連絡がつかない場合等が該当します。
③実務経験の内容
工事名を1行につき1件記載します。
請負契約書や注文書と突合ができるよう具体的な工事名を記載しなければなりません。
許可がない状況での工事なので、税込500万円以上の工事があると建設業法違反になります。
④実務経験年数
1件ごとの工事の期間が1年以上空いていなければ、連続した経験としてみなしてもらえます。
ただし、年数は片落としで計算するルールになっています。
始まりと終わりが月の途中であることが多いのでひと月分マイナスして計算しなければなりません。
上記の例で言うと、計算上、合計10年2カ月になるところ10年1カ月ということになります。
【近畿地方整備局(大臣許可)】
①実務経験の内容
通年にわたって経験がある場合、年度ごとの代表的な工事名を記載し、他の工事を「その他○○件」というように1行にまとめて記載することができます。
通年の経験がない場合は、工事1件ごとの工期を積み上げて記載します。その場合は片落としで計算することになります。
②実務経験年数
通年にわたって経験がある場合は、上記のように各行ごとに年度を記載し、単純計算で満10年ということになります。
工事内容の確認書類も各都道府県によって異なるので注意が必要
大阪府の場合、実務経験証明書に記載した工事ごとの請負契約書、注文書・請書、請求書のいずれかを確認書類として提示します。請求書の場合は、入金履歴がわかるものも求められることがあります。
近畿地方整備局(大臣許可)の場合は、工事ごとの請負契約書、注文書・請書のいずれかを確認書類として提出しなければなりません。請求書は原則認められません。
また、書類は提示ではなく提出する必要があります。※5年分(5行分)を任意抽出
工事の確認書類は各都道府県ごとにルールが異なるので、大阪府・近畿地方整備局以外で申請する際は注意しなければなりません。
最後に
実務経験証明書の作成自体は、慣れれば簡単にできます。
工事の請負契約書、注文書等の確認書類がきっちり準備できるかどうかがポイントになります。
過去の請負契約書等がすべて保管されているというケースは稀だと思います。
申請実務上、請負契約書等が残っている工事を記載して年数をつなぎ合わせていくというパターンの方が多いかもしれません。
この記事は行政書士が執筆・監修しています。 アールエム行政書士事務所/代表/金本 龍二(かねもと りゅうじ) 本記事は建設業に特化した事務所の行政書士が執筆・監修しています。 行政書士の詳しいプロフィールはこちら |
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