産業廃棄物収集運搬業の許可要件の中で「運搬施設(運搬車両・運搬容器等)」はとても重要な要件です。
運搬施設がなければ、そもそも収集運搬業務を行うことができないからです。
許可申請の際に運搬施設について記載する法定書類が、「事業計画の概要(様式第六号の二)第2面」です。
基準を満たす運搬施設を保有しているかどうかが、この書類でわかります。
本記事では、「事業計画の概要(様式第六号の二)第2面」の要点・書き方を詳しく解説しています。
ぜひご参考にしていただければと思います。
▼目次
(1)運搬施設に関する基準
(2)運搬車両ついての基準知識
3.最後に
使用する運搬車両・運搬容器等を具体的に記載する重要書類
「事業計画の概要(様式第六号の二)」の第2面には、運搬車両や保管場所、運搬容器等の情報を具体的に記載します。
裏付け資料として、運搬車両の車検証や保管場所の賃貸契約書、運搬車両・運搬容器の写真等も別途添付しなければなりません。
当然ながら、書類作成には運搬車両・運搬容器に関する正しい知識が必要です。
【様式第6号の2 事業計画の概要(第1面~第5面)】
◎運搬施設に関する基準
下記の基準に従って、事業に必要な運搬施設を用意しなければなりません。
【普通産業廃棄物の場合】
①産業廃棄物が飛散したり、流出したり、悪臭が漏れたりすることがない運搬車両・運搬容器等の運
搬施設を保有していること
②石綿含有産業廃棄物は破砕することのないような運搬方法をとり、他の廃棄物と混ざらないよう区
分して運搬すること
③水銀使用製品産業廃棄物は破砕することのないような運搬方法をとり、他の廃棄物と混ざらないよ
う区分して運搬すること
④水銀含有ばいじん等は、運搬中に揮発した水銀は運搬容器または梱包から漏れることのないような 措置をとり、高温にさらされないよう運搬すること |
【特別管理産業廃棄物の場合】
①特別管理産業廃棄物が飛散したり、流出したり、悪臭が漏れたりすることがない運搬車両・運搬容
器等の運搬施設を保有していること
②廃油、廃酸、廃アルカリを運搬する場合は、性状に応じ、腐食を防止するための措置を講じる等、
適した運搬施設を保有していること
③感染性産業廃棄物を運搬する場合は、適した運搬施設(保冷車等)を保有していること
④その他の特管理産業廃棄物を運搬する場合は、種類に応じ、適した運搬施設を保有していること |
◎運搬車両ついての基準知識
運搬に適した車両であること、使用権限があること、保管場所があること等が求められます。
運搬車両…ダンプ、パッカー、タンクローリー等 |
※パッカー車で「がれき類」「石綿含有産業廃棄物」「水銀使用製品産業廃棄物」「水銀含有ばいじん等」を運搬することはできません。
※深ダンプのように土砂等禁止の車両では「がれき類」「ガラスくず」「鉱さい」「汚泥」を運搬することはできません。容器に入れたとしても運搬することはできません。
ちなみに軽トラックや軽バンでもほとんどの品目で許可を取ることができます。
車検証に「貨物」ではなく「乗用」となっている車両は、注意が必要です。
使用権限…継続した使用権限が必要 |
※車検証の「使用者」と「申請者」が異なる場合は、「車両の貸借に関する証明書」を提出しなければなりません。
※すでに他の事業者で登録されている車両は、使用できません。
保管場所…賃貸または所有している駐車場が必要 |
※大阪府以外の都道府県では、賃貸借契約書や登記簿謄本の提出を求められることがあります。
◎運搬容器についての基礎知識
運搬する産業廃棄物の性状や形状に応じた容器が必要です。
下記は一例です。
燃え殻、ばいじん、鉱さい | オープンドラム缶、 フレコンバッグ | |
汚泥、動植物性残さ | オープンドラム缶 ※石綿含有汚泥は耐水性プラ袋が必要 | |
廃油 | クローズドラム缶 | |
廃酸、廃アルカリ | ケミカルドラム缶 | |
廃プラ、ガラス、がれき類 (石綿含有) | フレコンバッグ | |
水銀使用製品産業廃棄物 | プラスチック容器 |
「事業計画の概要」第2面の記載例、記載ルール
大阪府で申請する場合の記載例です。
他府県で申請する場合は、細かくルールが異なるので注意しましょう。
【事業計画の概要(第2面)】
別途、添付書類として以下のものが必要になります。
●運搬車両 真正面・真横の写真(事業計画の概要(様式第六号の二)第6面に貼付) ●保管場所 駐車場の見取図(任意様式) ※大阪府以外の都道府県では、写真や賃貸借契約書、土地登記簿謄本等も求められることがあります。 ●運搬容器 容器の形状がわかる写真(事業計画の概要(様式第六号の二)第7面に貼付) |
最後に
「事業計画の概要(様式第六号の二)第2面」は重要な書類ですが、書き方は特に難しくありません。
運搬施設に関する基礎知識がポイントとなります。
特に「品目によって認められない運搬車両」と「品目の性状・形状に応じた運搬容器」はしっかりと押さえておかなければなりません。
また、都道府県によって写真の取り方や書類の書き方等、少し異なることがあるので、大阪府以外で申請する場合は事前に確認しながら準備するとよいでしょう。
この記事の執筆者 金本 龍二(かねもと りゅうじ)|行政書士 アールエム行政書士事務所の代表・行政書士。事業会社で店舗開発に従事。
ディベロッパーや建設業者との契約交渉・工事発注に数多く携わる。その後、行政書士事務所を開設。
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