「専任技術者証明書(様式第八号)」は、建設業許可を取得する上で欠かすことのできない営業所の専任技術者について記載する重要な書類です。個人情報が含まれるため非閲覧書類に分類されます。
申請・届出のパターンごとに細かく書き方が異なる部分があるので、間違いやすい書類の1つです。
本記事では「専任技術者証明書(様式第八号)」について記載例をもとに書き方を解説しています。
その他、関連する重要事項にも触れています。
書き方ルールを確認し、実際の事例に置き換えながら間違いのないよう書類を作成しましょう。
都道府県によって判断が異なる部分があるので、大阪府以外で申請する際は事前に行政庁に確認するようにしてください。
▼目次
5.最後に
担当業種、有資格等、配置する専任技術者の情報を記載する重要書類
保有する資格または実務経験によって、どの業種の専任技術者になり得るかが決まります。
「専任技術者証明書(様式第八号)」には、申請内容に応じて要件を満たす専任技術者を記載することになります。
ほぼすべての場面で提出が必要になる書類です。
◎更新を除くすべての申請で提出必要な書類
更新以外のすべての申請において提出が必要な書類となります。
更新を申請する際は専任技術者に変更がないことが前提なので、提出が不要です。
専任技術者に変更がある場合は、更新申請する前に変更届出を済ませておかなければなりません。
書類は大阪府HPの様式等ダウンロードページからダウンロードできます。
◎専任技術者に変更がある場合にも提出が必要な書類
上記の新規等申請時だけでなく、以下のように専任技術者を交替させる場合等も変更届出書とともに提出が必要になります。
✅担当業種又は有資格区分の変更
専任技術者の追加に伴って、現在の専任技術者の担当業種を変更する場合、実務経験で登録している専任技術者を国家資格の有資格区分に変更する場合
✅追加・削除
専任技術者の交代や営業所の新設によって新たな専任技術者を追加したり、前任の専任技術者を削除する場合
✅置かれる営業所のみの変更
本店以外に営業所を置いている会社で専任技術者の所属営業所を変更する場合
✅氏名変更
専任技術者の氏名が変わる場合
専任技術者証明書(様式第八号)の記載例・記載ルール
以下、記載例をもとに記載ルールを解説しています。
「専任技術者一覧表(様式第一号別紙四)」と祖語がないよう注意しましょう。
「専任技術者一覧表(様式第一号別紙四)」については別記事で詳しく解説しています。
【新規許可等の申請の時】
①申請の内容
「(1)」の方を丸で囲み、一般建設業許可の場合は「建設業法第15条第2号」を消し、特定建設業許可の場合は「建設業法第7条第2号」を消します。
②区分
申請はすべて「1.新規許可等」を選択します。「2」~「5」は変更届の場合に選択します。
③許可番号
現在受けている許可番号、許可年月日を記入します。
「国土交通大臣、知事」「般、特」の箇所は不要な方を消します。
新規、許可換え新規の場合は、記入する必要はありません。
④-1 建設工事の種類(新規、許可換え新規)
下段「現在担当している建設工事の種類」は空欄になります。
上段「今後担当する建設工事の種類」申請予定の業種の欄に下記コード表に基づき、該当コードを記入します。
④-2 建設工事の種類(般特新規)
現在、一般建設業許可のみ受けている会社が特定建設業許可を申請する場合、特定建設業許可のみ
受けている会社が一般建設業許可を申請する場合が該当します。
下段「現在担当している建設工事の種類」現在許可を受けている業種の欄に下記コード表に基づき、該当コードを記入します。
上段「今後担当する建設工事の種類」の申請予定の業種の欄に下記コード表に基づき、該当コードを記入します。
④-3 建設工事の種類(業種追加)
現在、一般建設業許可のみ受けている会社が一般建設業許可を申請する場合や特定建設業許可のみ
受けている会社が特定建設業許可を申請する場合、両方の許可を受けている会社がいずれかの許可を申請する場合が該当します。
下段「現在担当している建設工事の種類」現在許可を受けている業種の欄に下記コード表に基づき、該当コードを記入します。
上段「今後担当する建設工事の種類」の申請予定の業種の欄に下記コード表に基づき、該当コードを記入します。
⑤有資格区分
大阪府建設業許可申請の手引き(2-26~2-29ページ)に掲載されている「専任技術者等の資格及びコード表」を参照してコードを記載します。(大阪府建設業許可の手引き)
【変更届(専任技術者の交替に伴う削除)の時】
①申請の内容
削除なので「(2)」の方を丸で囲みます。
②区分
「4.専任技術者の交替に伴う削除」を選択します。
交替に伴う削除なので、「3.専任技術者の追加」等、他の変更に係る「専任技術者証明書(様式第八号)」も同時に提出することになります。
他の区分(2、3、5)の書き方は新規申請等と同じ要領です。
③建設工事の種類
下段「現在担当している建設工事の種類」現在許可を受けている業種の欄に下記コード表に基づき、該当コードを記入します。
削除なので上段は空欄になります。
《専任技術者の該当種類コード表》
一般建設業の場合
「1」・・・第7条第2号イ該当(指定学科卒業、3年または5年以上の実務経験)
「4」・・・第7条第2号ロ該当(10年以上の実務経験)
「7」・・・第7条第2号ハ該当(国家資格取得者等)
特定建設業の場合
「2」・・・第7条第2号イ及び第15号第2号ロ該当(2年以上の指導監督的実務経験)
「5」・・・第7条第2号ロ及び第15条第2号ロ該当(2年以上の指導監督的実務経験)
「8」・・・第7条第2号ハ及び第15条第2号ロ該当(2年以上の指導監督的実務経験)
「9」・・・第15条第2号イ該当(国家資格取得者等)
資格証、実務経験証明書(+請負契約書、注文書・請書)も裏付資料として提示・提出が必要
有資格区分に記入した資格または実務経験について、裏付資料を提示または提出しなければなりません。
もちろん、すでに専任技術者として登録されている場合は必要ありません。
資格であれば免状や資格証、実務経験であれば「実務経験証明書(様式第9号)」と実務経験に対応する請負契約書または注文書・請書等が必要になります。
第二種電気工事士等のように資格に加えて実務経験が必要な場合は、資格証と実務経験証明書(+請負契約書、注文書・請書)いずれも提示・提出することになります。
令和5年7月の専任技術者の要件緩和の影響で、資格+実務経験というパターンでの申請が今後増えてくるかもしれません。
専任技術者の要件緩和について別記事で詳しく解説しています。
専任技術者全員の常勤性の確認資料が必要
資格や実務経験は専任技術者の重要な要件で、どの業種の許可が取れるかをも決定づけるものです。
しかし、営業所に専任、常勤していることが認められなければ、専任技術者にはなれません。
「専任技術者証明書(様式第八号)」に記載した専任技術者は立場・年齢に応じた必要書類を準備し、常勤性を証明します。
常勤性について以下リンク記事で詳しく解説しています。
最後に
「専任技術者証明書(様式第八号)」は記載箇所が少なく、作成自体に手間のかかる書類ではありません。
特に新規申請の時は、それほど負担に感じることはないでしょう。
しかし、般特新規申請や変更届の時は、既存の専任技術者の交替が発生したり、判断に迷うことがあります。
不安な方は、事前に建設業専門の行政書士に相談してみるのもよいでしょう。
この記事の執筆者 金本 龍二(かねもと りゅうじ)|行政書士 アールエム行政書士事務所の代表・行政書士。事業会社で店舗開発に従事。 ディベロッパーや建設業者との契約交渉・工事発注に数多く携わる。その後、行政書士事務所を開設。 建設業専門の事務所として 近畿圏内の知事許可、大臣許可、経営事項審査、建設キャリアアップシステムをサポート。
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