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執筆者の写真Ryuji Kanemoto

建設業許可の欠格要件、誠実性について【ひっかかると不許可・許可取り消しに】

更新日:3月16日


欠格要件と誠実性についての記事イメージ画像

建設業許可を取得するためには定められた要件をすべて満たさなければなりません。

そして、他のさまざまな許認可と同じように「欠格要件」に該当していないことも求められます。


自分は過去に悪いことをしていないから大丈夫と軽く考えがちですが、審査の結果、「欠格要件」に該当していることが発覚し、不許可になるケースは後を絶ちません。


建設業許可の申請をする前に「欠格要件」が誰を対象としたもので、どの程度の違反が対象となるのか、正確に把握しておいた方が良いでしょう。


許可要件の中の1つ「誠実性」のこともあわせて解説しています。

ぜひご参考にしていただければと思います。



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▼目次



「欠格要件」の位置づけと具体的な内容


「欠格要件」は以下のように建設業法第8条に定められています。


(第8条 本文)

“国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次の各号のいずれか(許可の更新を受けようとする者にあつては、第一号又は第七号から第十四号までのいずれか)に該当するとき、又は許可申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、許可をしてはならない。”

◎他の許可要件とは一線を画す存在

経営業務の管理責任者や専任技術者といった他の許可要件は、建設業法第7条に定められているのに対し、「欠格要件」は別の条文に定められています。


他の許可要件は基本的に基準を満たしていることが求められますが、「欠格要件」は「該当すると許可してはならない」という定めなので、位置づけとしては大きく異なります。


◎条文に規定されている14の欠格要件

1

破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

2

建設業許可を取り消されてから5年を経過しない者

3

処分による許可取り消しを免れるため廃業届を提出してから5年を経過しない者

4

処分による許可取り消しを免れるため廃業届を提出した場合、聴聞通知の60日以内前に役員等であった者で、提出から5年を経過しない者

5

営業停止処分を受け、その期間が経過しない者

6

営業禁止処分を受け、その期間が経過しない者

7

禁固以上の刑に処せられ、5年を経過しない者(刑期満了か刑の時効や免除から5年)

8

罰金以上の刑に処せられ、5年を経過しない者(刑期満了か刑の時効や免除から5年)

9

暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者

10

心身の故障により建設業を適正に営むことができない者

11

未成年者でその法定代理人が上記欠格要件又は12に該当するもの

12

法人でその役員等又は令3条使用人が1~4又は6~10に該当する場合

13

個人でその支配人又は令3条使用人が1~4又は6~10に該当する場合

14

暴力団員がその事業活動を支配する者

※「7」の禁固以上の刑は、あらゆる法令が対象になります。

※「7」執行猶予の場合、執行猶予期間が満了したときから欠格要件に該当しません。執行猶予期間中は欠格要件に該当します。

※「8」の罰金以上の刑は、建設業法・建築基準法・刑法などを中心とした一定の法令が対象になります。



14個の「欠格要件」と並んで、建設業法第8条本文に「許可申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、許可をしてはならない」と記載があるように虚偽の申請も不許可・許可取り消しの対象になることも重要なポイントです。


更新の場合は、「欠格要件」の2~6に該当しても不許可の事由になりません。例えば、営業の停止を受けていたとしても更新手続きはできるということです。



◎対象者の範囲

法人の場合・・・法人自体、取締役、執行役(指名委員会設置会社)、社員(持分会社)、相談役・顧問・株主等、令3条使用人(支店長など)、他上記と同等以上の支配力がある者等

個人の場合・・・本人、支配人等



「誠実性」の判断は難しい


「誠実性」については、建設業法第7条3号に以下のように定められています。


(第7条3号)

“法人である場合においては当該法人又はその役員等若しくは政令で定める使用人が、個人である場合においてはその者又は政令で定める使用人が、請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと。”

人が誠実かどうかという判断は非常に難しいものです。

「不正な行為」、「不誠実な行為」それぞれが何を指すのかを把握しておきましょう。

普通に営業していれば、まずひっかかることはないと思っても良いかもしれません。


◎不正な行為

建設業許可事務ガイドラインによると、「不正な行為」とは、請負契約の締結又は履行の際における詐欺、脅迫、横領等法律に違反する行為をいいます。


◎不誠実な行為

建設業許可事務ガイドラインによると、「不誠実な行為」とは、工事内容、工期、天災等不可抗力による損害の負担等について請負契約に違反する行為をいいます。


その他、建築士法、宅地建物取引業法等の規定により不正又は不誠実な行為を行ったことをもって免許等の取り消し処分を受け、その最終処分から5年を経過しない者である場合は原則としてこの基準を満たさないものとして取り扱われます。



「誠実性がある」、「欠格要件に該当していないこと」は自分で証明できない


他の許可要件と違い、注意が必要なのは、基準を満たしていることを申請者側が書類で証明するわけではないという点です。あくまで、行政庁による調査が中心なのです。


万が一、「誠実性」が疑われる場合や「欠格要件」に該当する場合は、許可がおりません。

当然、許可業者が該当すれば許可取消ということになります。


要件に該当する事実があれば、絶対に隠し通すことはできません。必ずバレます。

しかも、申請は受理されているので、申請手数料は残念ながら返金されません。


◎「欠格要件」に関する提出書類はいたってシンプル

他の許可要件のように、細かな申請書類や多くの証明書類は必要ありません。

作業としての負担はほとんどありません。内容的には、自己申告するようなものです。


・「誓約書(様式第6号)」…欠格要件に該当していないことの誓約として署名するのみ

・「役員等調書(様式第12号)」…賞罰のあるなしを記載

・「令3条使用人調書(様式第13号)」…賞罰のあるなしを記載

・「身分証明書」…本籍地役所で発行

・「登記されていないことの証明書」…法務局で発行


◎犯歴照会をはじめとする行政庁の調査は徹底的に行われる

「身分証明書」と「登記されていないことの証明書」のように一部の「欠格要件」は公的機関の証明書で該当していないことをすぐに証明できますが、大部分の「欠格要件」は申請時点では該当していないことを誓ったにすぎません。


申請受理後に警察も含めた関係各署に照会がかけられ、徹底的な調査を経て、「欠格要件」に該当していないことが証明されます。許可審査の中で1番日数がかかっているところかもしれません。


 

最後に


自社の役員等が「欠格要件」に該当しているかどうかの確認は難しいかもしれませんが、これから新規申請しようとしている場合や更新が近づいている場合は、軽く考えずに取締役はじめ、対象者への確認・調査を怠らないようにしましょう。


また、「誠実性」に関しては、疑われるようなことがないよう普段からコンプライアンスに対する意識を高めて、営業していくことが望まれます。


 

当事務所では、大阪府知事の建設業許可を中心に申請代理、その他経営事項審査や入札参加資格申請までサポート全般を承っております。建設キャリアアップシステムについても代行申請を全国対応で承っております。


ぜひお気軽にご相談ください。ご相談はお問合せフォームからお願いいたします。




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