建設業許可の更新手続き|必要書類や申請のポイントをプロが解説!
- Ryuji Hemmi
- 2022年8月12日
- 読了時間: 10分
更新日:4月1日

5年に1度の建設業許可の更新。
更新といっても決して簡易な手続きというわけではありません。
有効期間が満了する前に申請し、あらためて許可要件を満たしているかの審査を受けることになります。
うっかり忘れて許可を失効してしまった…
期日ギリギリになって手に負えなくなってしまった…
本当によくある話です。
そのようなことにならないよう余裕をもって臨みたいところです。
本記事では建設業許可の更新に向けて、万全の準備ができるよう必要書類から申請のポイントまで全て解説しています。ぜひご参考にしてください。


▼目次
(1)許可の有効期間は5年
(1)申請書類・添付書類
(2)許可要件に関する確認書類
5.最後に
建設業許可の更新手続きのタイミング
許可の有効期限がいつで、いつからいつまでの間に更新手続きをしなければならないのか。
許可の有効期間と更新手続きの期限は、許可通知書に記載されています。
まずは基本的なことを押さえておきましょう。
◎許可の有効期間は5年
建設業許可の有効期間は、大臣許可・知事許可、一般建設業許可・特定建設業許可の区別に関係なく5年です。
許可取得日の5年後の前日まで有効です。
【例外】個人から法人成りで許可の承継認可を受けた場合は、承継日を含めて承継日の翌日から5年。有効期間は5年と1日になります。
承継認可について知りたい方は、以下リンク記事もあわせてご確認ください。
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◎更新手続きの期限は有効期間満了の30日前
建設業許可の更新手続きは、有効期間が満了する日の30日前までに行わなければなりません。
申請から許可が下りるまで30日かかる(標準処理期間)ので、その分を考慮しての期限設定となっています。
更新の手続き自体は、有効期間満了日の3ヵ月前からできるので余裕を持って早めに行った方が良いでしょう。
万一、有効期間満了の日の30日前までに申請できなかった場合はどうなるのか。
行政庁への事前相談は必要ですが、有効期間満了の日を過ぎていない限り申請を受け付けてもらうことはできます。
しかし、新しい許可通知書が間に合いません。
許可が下りていなくても、暫定的に従前の許可の効力を認めてもらえますが、取引先等に求められた時に許可通知書を出せないことになってしまいます。
必ず有効期間満了の日の30日前までに申請しなければ受け付けてもらえないケースもあります。
般特新規や業種追加の申請もあわせた「許可の一本化(許可の有効期間の調整)」です。
✔あわせてチェック 建設業許可の更新・業種追加の際は「許可の一本化」がオススメ! |
建設業許可の更新手続きの前に確認すべきこと
更新手続きの大前提として、許可要件を満たしていなければ話になりません。
許可を維持するための必要条件です。
その他、届出義務等を怠っている場合は更新の申請を受け付けてもらえないので、遡って対応が必要になります。
事前にすべて確認するようにしましょう。
◎許可要件を満たしていることが大前提
当然ながら、許可要件を満たしていなければ、更新することはできません。
念のため、各要件ごとに事前確認をしておく方が良いでしょう。
■ 経営業務の管理責任者がいること
許可取得時にすでに証明された経営業務の管理責任者の経営経験が、ある日突然基準に満たなくなるようなことはありません。
問題になるのは常勤性です。
具体的には、経営業務の管理責任者でありながら、他社の役員に就任していたり、他社で社会保険に加入していたり、遠方に引っ越していたりすると、常勤性を欠いていると判断されます。
つまり、許可要件を満たしていない状態なので、更新どころか許可取消の対象になります。
✔あわせてチェック 経営業務の管理責任者は経営経験が必要!必要書類・申請のポイントを徹底解説! |
■ 営業所技術者等(専任技術者)がいること
専任技術者は経営業務の管理責任者と違い、一般の従業員でもなることができます。
専任技術者である従業員が更新の時期を迎える前に、実は退職していたというケースがよくあります。
この場合、当然許可要件を満たしていない状態なので、許可を維持することはできません。
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■ 財産的基礎があること
一般建設業許可の場合は特に問題になることはありません。
継続して営業し、更新申請に至っている時点で要件を満たしていることになります。
特定建設業許可の場合は注意が必要です。
直前の決算で以下のすべてを満たしていなければなりません。
✅欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと。
✅流動比率が75%以上であること。
✅資本金の額が2,000万円以上であること。
✅自己資本の額が4,000万円以上であること。
■ 社会保険に加入していること
適用事業所は加入が義務なので、更新のタイミングでも加入書類の提出が必要です。
万一、何らかの理由で未加入になっている場合は許可取り消し対象となります。
■ 欠格要件に該当していないこと
許可要件の中で1番注意しなければならないところかもしれません。
どこまでがセーフでどこからがアウトかわからず、実は欠格要件に該当していたというケースが多いのです。
例えば、スピード違反や飲酒運転等、道路交通法違反で罰金刑を科されても欠格要件に該当しません。
一方、暴行や傷害などの罪で罰金刑を科されると欠格要件に該当します。
また、罪状問わず、禁固刑や懲役刑が科されると執行猶予付きであっても判決が出た時点で欠格要件に該当します。
執行猶予期間が終われば、刑がなかったことになり、欠格要件に該当しません。
✔あわせてチェック 建設業許可の欠格要件、誠実性について【ひっかかると不許可・許可取り消しに】 |
◎決算変更届を5期分もれなく提出済みかどうか
建設業許可業者は毎年決算終了後4ヵ月以内に決算変更届の提出が義務付けられています。
提出漏れが1期でもあると、更新申請を受け付けてもらえません。
必ず5期分の提出が済んでいることが条件です。
1度も提出しておらず、直前に5期分まとめて作成・提出するとなると大変な作業になります。 余裕をもって早めに確認するようにしましょう。
なお、本来は毎年提出することが義務付けられていることをお忘れなく。
1期でも提出が漏れていること自体、監督処分の対象ですので注意しましょう。
✔あわせてチェック 建設業の決算変更届(事業年度終了届)を記載例付きで徹底解説! |
◎登記簿謄本と現状にズレがないかどうか
新規で許可を取った時や前回の更新時から、登記簿謄本の記載事項に変更があった場合は変更登記を済ませておかなければなりません。
〈よくある変更事例〉
・役員の変更
・資本金の変更
・本店の変更
・事業目的の変更
登記簿謄本と現状が一致していない場合は、更新の申請を受け付けてもらうことができません。
また、役員の重任登記がされておらず、任期が終了している場合なども非常にまずいです。
登記の期限は2週間以内となっており、怠った場合は代表者個人に100万円以下の過料が科せられる場合があります。
専門家である司法書士に早めに相談しておきましょう。
◎各種変更届をもれなく提出済みかどうか
建設業許可業者は経営業務管理責任者の変更、専任技術者の変更、役員の変更、資本金の変更など、重大な変更があった場合はそれぞれ定められた期限内に変更届を提出しなければなりません。
変更届の提出漏れがある場合は、更新申請を受け付けてもらえません。
さかのぼって漏れがないか確認しましょう。
特に役員等(株主含む)の変更届の漏れはよく見られます。
登記だけ完了し、建設業法上の届出義務があるのを知らずに放置していることが多いようです。
✔あわせてチェック 【建設業許可の変更届】届出が必要なケースとは?提出書類等も総まとめ! |
建設業許可の更新手続きに必要な書類
基本的には新規申請の時と比べて準備する書類は少なくて済みます。
申請書類・添付書類と許可要件に関する確認書類をそれぞれ分けて把握しておきましょう。
◎申請書類・添付書類
・建設業許可申請書[様式第1号]
・役員等の一覧表[様式第1号別紙1]
・営業所一覧表(更新)[様式第1号別紙2(1)]
・営業所技術者等一覧表[様式第1号別紙4]
・誓約書[様式第6号]
・常勤役員等証明書[様式第7号]
・常勤役員等略歴書[様式第7号別紙]
・健康保険等の加入状況[様式第7号の3]
・許可申請者の住所、生年月日等に調書[様式第12号]
・商業登記簿謄本 ※変更なければ不要
・定款 ※変更なければ不要
・株主(出資者)調書[様式第14号] ※変更なければ不要
・営業の沿革[様式第20号]
・所属建設業団体[様式第20号の2] ※変更なければ不要
・主要取引金融機関名[様式第20号の3] ※変更なければ不要
◎許可要件に関する確認書類
●常勤役員等(経営業務管理責任者)
・前回申請の副本「常勤役員等(経営業務の管理責任者)証明書」
・常勤性の確認書類(標準報酬決定通知書、住民税特別徴収税額通知書など)
●専任技術者
・常勤性の確認書類(標準報酬決定通知書、住民税特別徴収税額通知書など)
●財産的基礎
・(特定建設業許可のみ)確定申告書類・決算報告書+建設業法財務諸表
●誠実性、欠格要件
・身分証明書(本籍地の役所で取得)※発行から3カ月以内
・登記されていないことの証明書(法務局で取得)※発行から3カ月以内
●社会保険加入状況
・標準報酬決定通知書、保険納入告知額・領収済通知書など
・労働保険概算確定保険料申告書+領収済通知書、労働保険料納付証明書など
建設業許可の更新に関してよくある質問
建設業許可の更新について頻繁にいただく質問をピックアップしました。

◎有効期間中に工事実績が全くなかった場合、更新はできないのでしょうか?
工事実績がなかったとしても更新することは可能です。
毎年の決算変更届で「工事実績なし」の工事経歴書を提出していることが前提になります。
持っている資格に対応する許可業種を取れるだけ取った場合によくあることです。
◎更新手続きを忘れて許可を失効してしまった場合、救済措置はありますか?
有効期限が切れて許可を失効してしまった場合は、残念ながらどうすることもできません。
あらためて新規申請で許可を取りなおす必要があります。
当然、手数料もかかりますし、必要書類を揃えるのも大変です。
最後に
建設業許可の更新手続きについて解説いたしました。
内容を踏まえて以下5つのポイントを押さえておくと万全です。
✅更新手続きは有効期限の3カ月前から余裕をもって準備する
✅許可要件の状況は常に把握しておく
✅決算変更届は毎年必ず提出する
✅変更届の提出漏れがないよう届出義務のある事項を覚えておく
✅変更登記、重任登記は2週間以内に申請する
更新は簡易な手続きのように思われがちですが、慎重に対応しなければ思わぬ落とし穴にはまってしまいます。
場合によっては、毎年の決算変更届や経営事項審査等も含めて建設業を専門とする行政書士との顧問契約を検討するのも良いかもしれません。
![]() | この記事の執筆者 逸見 龍二(へんみ りゅうじ)|行政書士 アールエム行政書士事務所の代表・行政書士。事業会社で店舗開発に従事。ディベロッパーや建設業者との契約交渉・工事発注に数多く携わる。その後、行政書士事務所を開設。 建設業専門の事務所として 近畿圏内の知事許可、大臣許可、経営事項審査、建設キャリアアップシステムをサポート。 事務所HPへ |
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